2023.06.21
雪室とは、雪国である新潟県に伝わる「天然の冷蔵庫」のようなものです。冬に積もった雪を地面に掘った穴に集め、藁などで覆って作られます。古くから生鮮食品の冷蔵保存に利用しており、江戸時代から伝わったとされています。
厳寒期の雪でつくられる雪室は、秋以降まで溶けず、まるでカマクラのような雪室内部の貯蔵空間は室温約1度~2度・湿度90%以上の【低温・高湿度】が安定して保たれます。その環境の中で熟成された食品は、甘味やまろやかさといった”おいしさ”が引き出されます。
一般の冷蔵庫は、機械の作動・停止により、温度約-1~10度、湿度約30~99%と不安定であるのに対して、雪室は温度約1~2度・湿度90%以上と一定の為年間と通して安定した環境で熟成をすることができます。
上記のように安定した環境に加え、一般の冷蔵庫とは異なり機械による振動が一切ない為、食品にストレスをかけずにゆっくりと熟成をすることができます。振動や温度変化は肉に対して負荷がかかってしまい、ドリップが出る原因となります。ドリップには旨みが詰め込まれているので、振動がない環境にすることでドリップ漏れを防ぎ旨味の流失を抑えることができます。
雪室は電気の力に頼らず、自然の力(クリーンエネルギー)を利用していることから、環境にも良い熟成方法であると言えます。
雪室は、上図のように降り積もった雪で倉庫を覆い、その周りにもみ殻を被せるような構造になっております。つまり、倉庫・雪・もみ殻の3層の構造になっております。
雪室熟成牛にすることの効果について解説いたします。
・タンパク質が分解され遊離アミノ酸の含有量が増加
→うまみ・甘味・コクがUP!
・酵素が活発に働き肉の繊維を破壊
→感動的なやわらかさに!
・安定した環境だからドリップが少ない
→旨みが逃げない!
・ウェットエイジング
→熟成香がほとんどなく、高歩留まりかつ衛生的!
このような様々な効果により、雪室熟成牛はしっとりとした肉質、角の取れたまろやかな味わいへと美味しさが向上します。