コラム

使用部位の歩留りを知ると、原価の実態がより正確に分かる

使用部位の「歩留り」を知ることで、原価の実態がより正確に見えてくる

前回のコラムでは、歩留りの基本的な考え方と、歩留りを使った原価計算のポイントについてお伝えしました。

今回はその一歩先として、部位ごとの歩留り差が原価判断にどのように影響するのかを、実際の加工データを用いて解説していきます。

歩留りは、単に「使える量の割合」ではなく、
部位の特性・整形基準・スライスやカットの規格によって大きく変わる
“原価の重要な判断材料” です。

そのため、歩留りを把握しておくことで、見た目の単価だけでは分からない「実質の原価」をより正確に読み取れるようになります。

※先回のコラム(原価を左右する「歩留り」について)はこちら

 

■ 歩留りが分かると“本当の原価”が分かる

肉の仕入れでは、
・原料の単価
・整形基準
・スライスやカットの規格
によって、最終的に使える量=歩留りが変わります。

例えば、お客様が豪州産の牛肩ロースの原料(原木)を仕入れたい場合、見積書に記載されているのは「1kgあたりの単価」だけで、「歩留り」までは表示されていないことが多いものです。

しかしお客様自身がその歩留りの目安を知っていれば、
「この原料はキロ4,000円だけど、歩留りを考えると実質5,000円位になりそうだ」
というように、“実質の原価”をご自身で判断できるようになります。

 

■ 牛肉・豚肉の歩留り例

ここでは、参考までに実際の弊社加工現場で得られた歩留りの一例をご紹介します。

●牛肉(和牛の場合)
肩ロース:約70~80%
リブロース:約90~95%
サーロイン:約85~95%
ヒレ:約55~60%
バラ:約50~65%
内モモ:約65〜75%

●豚肉(新潟県産豚の場合)
肩ロース:約90~95%
ロース:約90~95%
バラ:約85~90%
ヒレ:約80~85%
ウデ:約80~90%
モモ:約80~90%

※上記の歩留りデータは、一般的な整形基準をもとにした目安です。
産地、規格、掃除具合、個体差などにによって歩留りは変動します。

 

■歩留りを使うと「実質原価の違い」が分かりやすくなる

それでは、前章の歩留り例を使用し、部位ごとの歩留り差が“実質原価”にどのように影響するかを、計算例を用いてご紹介します。

例えば、和牛のバラは、
・バラ:歩留り 約50~65%
と歩留りの幅が大きく、整形量によって使える量が大きく変わります。

ここで、原料単価を仮に以下とします。
・バラ:2,500円/kg

※下記の計算例では、歩留りの「約○~○%」の中間値を使用しています
 (バラは57.5%)

歩留り原価は次の式で求められます。
―――――
歩留り原価 = 原料単価 ÷ 歩留り率
―――――
・バラは、
 2,500 ÷ 0.575 = 4,348円/kg

このようになり、
見た目の単価は2,500円/kgと安く見えても、歩留りを踏まえると実質原価は4,000円/kgを超える場合があります。

また、豚肉のバラでは
・バラ:歩留り 約85~90%
と歩留りが高いため、同じ「バラ」でも用途によって実質原価が大きく変わります。

このように歩留りを把握しておくことで、
“実際に使える量を踏まえた原価”をより正確に判断できるようになります。

 

■ まとめ

あらかじめ歩留りを知っておくことで、
・見た目の単価だけに惑わされない
・実際に使える量を踏まえて原価を判断できる
・部位ごとの違いを理解し、仕入れの比較がしやすくなる
といったメリットが生まれます。

日々の仕入れや原価計算の見直しに、ぜひ「歩留り」の視点をご活用ください。
より納得感のある仕入れにつながるはずです。