2026.06.19
歩留りが原価に与える影響
日々の仕入れや加工の中で、意外と差が出やすいのが「歩留り」です。
同じ価格でも、実際に使える量がどれだけ残るかによって、最終的な原価は大きく変わります。
本コラムでは、歩留りの基本と、国産豚ロースでの歩留り例、そして原価計算の考え方を整理いたします。

■ 歩留りとは
歩留りとは、元の重量のうち、実際に商品として使用できる割合を指します。
肉には脂・スジ・膜など、用途に応じて取り除くべき部分があり、
この「整形(トリミング)」によって商品として使用できる部分の量が変動します。
原料1kg → 使用可能部分0.7kgなら「歩留り70%」
原料3kg → 使用可能部分2.7kgなら「歩留り90%」
同じ部位でも、産地・規格・整形基準によって歩留りは変わります。
そのため、仕入れ段階で原料の歩留りの目安を把握しておくことが、原価管理の第一歩となります。
■ 国産豚ロースの歩留り例
ここでは、国産豚ロース(原木)を例に、整形の各工程で歩留りがどのように変化するかを段階的にご紹介します。
① 原木(未整形)
歩留り: 100%
② スジ・残骨を除去した段階
歩留り:約94〜96%
③ 表面の脂を整えた段階(※必要な場合のみ)
歩留り:約91〜96%
④ スライス・カット後の端材
最終的な歩留り:86〜93%程度
●歩留りから見た実質原価の目安
例えば、①原木の仕入れ価格が 1,800円/kg の場合、
④の最終歩留り(86〜93%)を踏まえると、
実質的に使用できる部分の原価は「約1,935〜2,093円/kg」となります。
このように、歩留りがわかることで“本当の原価”がわかります。
次の章では、この考え方をより分かりやすくするために、式を使って原価を比較してみます。
※上記の歩留りデータは、自社のデータおよび一般的な整形基準をもとにした目安です。個体差や用途によって変動します。

■ 原価の考え方
前章で見たように、歩留りがわかることで“本当の原価”がわかります。
ここでは、その考え方をより明確にするために、式を使って原価を比較してみます。
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歩留り原価の基本式
歩留り原価 = 原材料の原価 ÷ 歩留り率
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例:歩留りの違いによる原価の比較
● 豚ロース(2000円/kg・歩留り90%)
2000÷90%=2,222円/kg
● 豚バラ(1900円/kg・歩留り85%)
1900÷85%=2,235円/kg
このように、掃除をして実際の原価を出すと逆転するなんてことも珍しくありません。
歩留りの違いは、見た目の単価以上に原価へ影響します。
そのため、原料価格だけでなく、
「歩留り計算後(使用可能部分1kgあたり)の原価」で比較することが重要になります。
■ まとめ
歩留りとは、投入量に対して得られた生産量の割合です。
つまり、原料に対し使用できる部分がどれだけの割合かを示すものです。
その数字の裏には、スジや脂を取り除く工程や、部位ごとの特性に応じた扱い方があり、“どれだけ使える部分が残るか”だけでなく、食感や見た目を良くするために、スジや脂をどの程度まで除去するかという品質面での判断も含まれています。
また、歩留りは単価だけでは測れない“本当の原価”を知る手がかりでもあります。
使用可能部分1kgあたりのコストで比較することで、見た目の価格に惑わされず、より合理的な仕入れ判断が可能になります。
日々の仕入れや原価計算の見直しに、
「歩留り」という視点をぜひお役立てください。